龍谷大学文学部博物館実習室では、学芸員課程の集大成として毎年12月に展覧会を開催しています。担当教員の指導のもと学生が主体となり、学んだ知識や技術を活用して展覧会の企画・調査・準備・運営等の学芸員の実務を実践します。
本年度で43回目を迎える2022年度龍谷大学博物館実習「十二月展」は、「わざわいと人々」をテーマとして開催します。病を中心とした「禍」、災害を中心とした「災」、怪異を中心とした「妖」という3つの観点から人々を苦しめた「わざわい」をご紹介します。そして4章の「祈」では、それらに対してささげた祈りに関する資料を展示することで、わざわいと人々の共生の歴史に迫ります。
また、今年度は国の重要文化財に指定されている大宮学舎本館で「龍大とわざわい」というパネル展を同時開催いたします。「学寮」として龍谷大学の前身が1639年に設けられて以来、地震や火事などさまざまな「わざわい」が大学を襲いました。それらを当時の記録をもとに人々がどのように捉え、どのように対処してきたのかをご紹介いたします。
2019年より世界中で流行しているコロナウイルスは多くの人々に不安をもたらし、社会のあり方さえ変えてしまいました。しかしこのような不安は現代を生きる私たちだけが抱える問題ではありません。これまでにも多くの人々が病に苦しみ、それと向き合ってきた歴史は多く存在しています。
本章「禍」ではそうした病と向き合ってきた人々の様子や、実際の病への様々な対処の様子を紹介し、その当時を生きた人々の考えに触れることで、私たちのあり方を見つめ直すきっかけとなればさいわいです。
地震・火災・水害等の天災は古代から現代に至るまで多くの人々を苦しめてきました。これらの災害は人の力で被害を抑えることはできますが、災害そのものを起こさないようにすることは不可能であり、多くの人々に畏れられています。今回は天災の記録といった展示品から過去にどのような災害があったのかを紹介するとともに、人々がどのように天災から逃れようとしたのかという対策の面についても触れていきます。
病気や自然災害などのわざわいや日常生活で起こる摩訶不思議な現象は、科学の発達していない世界では何が原因で起こるかわからない、目に見えない恐ろしいものでした。そこで昔の人々は、それらを目に見える形で表しました。そうして誕生したのが「妖」です。今では、妖怪は漫画やアニメの世界で娯楽の一部として親しまれているが、その背景には時代ごとの妖の捉え方の変化があります。平安時代を出発点とし、人々の恐れから誕生した妖が時代を経ていく中でどのように人々に受け入れられていったか感じていただきたいです。
わざわいは、疫病や天災として、ときに妖怪へと姿を変えて、人々のもとへと降りかかってきました。厄災を払うべく、人々は神仏に祈りを捧げ安寧を願いました。京都の祈りの象徴である祇園祭や、宮中の古式を継承し鬼を払う追儺式は、年中行事として京都の人々の生活の一部となっています。京町屋を飾る鬼瓦や鍾馗像は、厄除の風習として人々に今も信じ続けられています。本章「祈」では、祇園祭の様子が描かれた絵画などを展示します。京都に息づく祈りを、人々の願いを感じていただければ幸いです。
安寧来たれと願う今、京都から祈りを——。
2022年12月7日(水)〜 12月10日(土)
10:00 ~ 17:00
※最終日のみ16:30まで
(入館は閉館の30分前まで)
無料
龍谷ミュージアム2階展示室、
龍谷大学大宮キャンパス本館
龍谷大学大宮学舎
住所:京都市下京区七条通大宮東入大工町125-1
TEL:075-343-3311
FAX:075-343-4302
MAIL:bungakubuhakubutukan@gmail.com
龍谷大学の歴史の中で降りかかってきたわざわいに触れ、約380年のあゆみの中で揺れ動いた学生の姿を感じていただければと思います。
紙芝居企画では、街頭紙芝居の魅力をお伝えします。みなさんの知っている「紙芝居」とは違った世界をお見せできるかもしれません。学生による紙芝居実演とパネル展から、昔懐かしい街頭紙芝居の世界を感じていただければ幸いです。
会期中には、12月展オリジナルのクロスワードパズルを配布しています。キーワードを完成させた方には、ここでしか手に入らない特製のスマホ用壁紙をプレゼントしますので、ふるってご参加ください。